「神は細部に宿る」のです。
ル・コルビュジェ、フランク・ロイド・ライトと並ぶ近代建築の三大巨匠の1人、ミース・ファン・デル・ローエの言葉。
言葉の意味はそのままで、“細かい部分にこそ神が宿る”。
言い換えれば、“細かい部分まで徹底してこだわれるかが成功するかしないかを決める”という意味だ。
細かい部分を疎かにすると、人を魅了するものは作れない、という意味でもある。
いつだかのCasa BRUTUSで目にした言葉です。
細部までのこだわり、家作りにおいてはこと注目される部分ではあるが、なかなか手が出せない(まわらない)のも本音かと。
しかし、まさにこの言葉を体現する家に出会いました。
まず、伊藤豊雄建築設計事務所に勤務していたことでも知られる、建築家 佐藤光彦氏の設計によるコーポラティブハウス。
東が丘の住宅街の中でも一際目を引く、マッシブなコンクリート造りの建物。
その1室が今回の舞台。
地下1階であることを感じさせないくらい、足を踏み入れた瞬間から明るくやわらかい光が部屋中を包み込んでいるのがとても印象的だった。
南向きの直射日光ではなく、北から一日中やさしくじんわりと差し込む光。
お部屋の中央のテラスを囲んだガラスは、人目が気にならないこともありカーテンもブラインドもされずに生活できている。
この光の雰囲気は、まるでアートミュージアムのようだ。
直感的に美しく整い、デザインや暮らし方について常日頃よく考えられている住まいだと気がつく。
たとえば家具ひとつを取っても、その空間にどれ一つとして馴染まないものはない。
照明、リネン、器、ドライフラワー、ひとつひとつのインテリアも、まるでCasa BRUTUSから飛び出してきたような完璧な出で立ち。
床材はオークの無垢材を使用しており、少しホワイトの塗装を施してあるので透明感のあるくすみが感じられ、そのニュアンスひとつを取っても美しい。
そのトーンを崩すことなく、リビングの備え付けの収納は何とも美しいヘリンボーン貼り。
取っ手の金具もゴールドをチョイス。
このパーツは、オーナーさん自らニューヨークで購入されたもの。
スイッチパネル、キッチンタイル、ガスコンロ、洗面ボウルや水栓、どれもひとつひとつ空間に合わせて選ばれたもので、アメリカ製やドイツ製。
無駄がなく、究極にシンプルで美しい、この空間を形作っているのはこういった細部へのこだわりたるものからなのだと気が付かされます。
空間は、大きくひとつの空間にありながらも、サニタリー・キッチン・リビング・書斎・ベッドルームとお部屋の形によってゾーニングされている。
しかしながら、ベッドルーム手前の空間と書斎の間には柱が入っており、将来的にもう1部屋を区切れるようにと工夫がされているあたりも秀逸。
ライフステージに合わせて間取りを変更できる。
静かで暮らしやすいエリアでありながら、少し歩くとスーパーや飲食店もあり生活のイメージも湧きやすい。
駅徒歩の距離はあるものの、物件至近にはバス停がいくつもあり、恵比寿・中目黒・渋谷・三軒茶屋・下北沢方面へアクセスできるなどバス便が便利なのもポイント。
駅徒歩距離を理由に自転車を買うのも有り。
あ、そうそう。
駒沢公園も至近のため、ペットを飼ってお庭かわりにお散歩を日課にするのも楽しそうですね。
語り切れないお部屋の魅力については、百聞は一見に如かず、ぜひ一度ご覧ください。