「死なないための家」に住むなんてこんな経験あります?
私の運命をも反転させた空間
~ 三鷹天命反転住宅 In Memory of Hellen Keller ~
「建築のちから」を痛感しました。
人が創造し、そしてその中に人自身が入ることができる数少ないものの一つ、それが建築。
建築が人に与える影響力は、他の創造物のインパクトを明らかに超えることがあります。
荒川修作氏による「三鷹天命反転住宅」はまさにその最たる例の一つです。
原色と見慣れない曲面を多用したその建物は、単純に見かけから判断すると
「おっ」と一旦引いてしまうかもしれません。
しかし、不思議です。
中に入ってしばらくすると、徐々に自分の身体が建物と一体化してくるのがわかります。
「ん~、居心地がいい」のです・・・。
家の真ん中にキッチンがある、まるで昔の民家のようなアジアっぽいリビング。
好き勝手に上からモノをつるせるフックのついた天井。
あえて私たちの足裏の感覚に挑むかのように設えられた、凸凹の土床。
完成しているようで、でも自分味にアレンジができる「スキマ」が
たくさん残されているこの空間に、文字通りグイグイと「はまって」いくのであります・・・。
今までにない不思議な元気が沸いてくる、そんな感じすら受けます。
入居中の方々も口をそろえて、
「この家のよさは泊まってみないとわからないですよ」と。
そして、荒川氏曰く
「この空間にいると、もう一人の自分が出てくる」のだそうです・・・うむむ、深いかも。
空間が本来持っている力、
空間と人の作り出すことの出来る可能性
そんなことを考えさせられる、魅力的な空間です。
世界中から注目されているこの壮大なる実験プロジェクト、体感できるのは世界中でここだけです。
貴重な人生の一時期を、こんな空間で過ごしてみるのも面白いかもしれませんよ。
photo by Masataka Nakano